今回は今年4月施行となる同一労働同一賃金がテーマです。
「同一労働同一賃金」とは具体的には「パートタイム・有期雇用労働法」「改正労働者派遣法」などが施行される、ということで、大企業は今年4月、中小企業は来年4月から適用されます。
有期雇用者には朗報
この変更がダイレクトに関わってくるのは有期雇用者(契約社員、派遣社員など)ですが、間接的には正社員にも影響はあります。
今までは正社員と有期雇用者で同じ仕事をしていても、雇用形態によって給与や待遇が異なることが多く見られました。
具体的には有期雇用者も毎日通勤しているのに、通勤交通費が支給されない、賞与がない、その他手当がない、などがあげられます。
そういった不合理な待遇をなくすことが目的です。
ですから今後必要なことは、まず役割、責任範囲、業務内容などをそれぞれ明確にする必要があります。その上で、同じ業務は同一賃金にしていきます。
もし賃金が異なるのであれば、なぜ違うのかその合理性を説明できるようにしなければいけません。今までのように雇用形態だけの理由で給与を決めるとよろしくない、ということですね・・・。
これは有期雇用者にとっては、これから賃金が上がる可能性があるので朗報と言えるでしょう。
正社員には嬉しくない制度?
「自分は正社員だから関係ない」とここで思ってもこの先も読んでください。
これまで有期雇用者は低い賃金に抑えられてきた傾向があります。そこでこの同一労働同一賃金が始まり賃金を上げることになる。そのままだと当然会社全体の人件費が上がることになりますね。
経営者の視点で考えれば、そのまま指をくわえて見ているわけにはいきません。人件費をどこかで調整する必要が出てきます。そうすると正社員の賃金にも手をつける必要があるわけです。
給与を減らすことは難しいですが、今支給している各種手当の見直し、福利厚生などが対象となるでしょう。
年功型賃金の見直しもあります。これまでは在籍していれば、年功型賃金である程度賃金は上がっていきました。今後はこの上がり方をもっと緩やかなものにして上昇を抑えていくことが予想されます。
また別のブログ記事でもお伝えしている通り、早期・希望退職を募集して、賃金の高い層を減らしていくでしょう。
このように「人件費」という視点で考えると「同一労働同一賃金」は有期雇用者にも正社員にも大きく関わってくることになります。
今後皆さんの組織でもいろいろな動きが出て来ると思います。小さな変化にもアンテナを立てて、ご自身にどんな影響が出るか意識してくださいね。
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