東京商工リサーチによると、今年1月から11月の間に上場企業が実施した早期・希望退職の募集(応募)が1万人を超えました。
1万人を超えるのは6年ぶり。業績が好調な企業も実施しているのが今年の特徴です。
私が記録しているだけでも
・パイオニア
・エーザイ
・コカ・コーラ
・中外製薬
・富士通
・カシオ計算機
・アルペン
などがあります。
既に来年以降に実施予定を発表している企業もあるので、来年も1万人を超える可能性も・・・。
また早期・希望退職ではないですが、管理部門から営業部門などへの配置換えを実施している企業もあります。
人手不足なのになぜ人を減らすのか?
なぜ今早期・希望退職が増えているのでしょうか?組織の年齢構成が理由の一つにあげられます。
ご存知のように人口ピラミッドでも50代はボリュームゾーンですが、彼らが大学を卒業した頃はバブルの真っ盛り。例えば今年55歳の人は1987年前後に入社しています。
有名な「ジャパン・アズ・ナンバー1」が1979年に出版され、日本が世界中でブイブイ言わせていた時期です。好景気もあり、企業もドンドン新卒を採用していました。そして30年後、年功序列で給与も高くなったこの層がお荷物になってきたのです。
日本の人口構成と同じように逆ピラミッドになっている企業も多いです。でも彼らが給与に見合った成果を出しているか、というとそうでもない。
一方、良い人材を採用・引き留めるために新卒・若手社員の給与が上がってきています。人件費のバランスを取るための一環として早期退職が増えていると私は考えています。
今年5月のトヨタ社長の発言が注目されました。
「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」
トヨタでさえそうなのです。
誰に起こってもおかしくない
ですから50代の人たちは定年まで今の会社にいられる可能性は上の世代より少なくなっていくでしょう。
そういう時のために、今から身の振り方を考えておくことをお薦めします。
・グループ内の企業に自ら出向する
・副業を始める
・給与が下がることを覚悟の上で中小企業に転職する
・起業する
などなど。
労働市場における自分の価値を改めて見直し、いざという時に慌てないようにすることが大切です。
切羽詰まっていると選択肢も限定されます。でも余裕があればいろいろな選択肢からベストのものを選べます。まだ時間があるうちにぜひ考えてみてください。
ここまで50代の方をメインに書いてきましたが、早期・希望退職の対象は45歳以上というものも結構あります。ということは40代も同じことが言えるということです。
今の時代「定年まで今の会社いられるとは思わない方がよい」ということですね。