「健康経営」という言葉を聞いたことがありますか?
従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することで、従業員の活力向上や生産性の向上など組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながることが期待されています。
経済産業省では、健康経営に係る各種顕彰制度として平成26年度から「健康経営銘柄」の選定、平成28年度には「健康経営優良法人認定制度」を創設して普及に努めています。
どんなことに取り組んでいるか?
実際の事例を紹介しましょう
例えば塩野義製薬では、今年4月から「絶煙宣言」を出し、2024年までにグループ従業員の喫煙者をゼロにする目標を掲げました。
製薬会社ですから企業イメージも大切ですが、製造業でも同じような動きがあります。日本電産では6月から敷地内の完全禁煙を目指しています。
他にもいろいろな取り組みがあります。
年一回、全従業員との個別面談を実施して健康アドバイスを行ったり
人事、健保組合、労働組合と共同して健康に関するイベントやセミナーを開催したり
社員食堂がある企業ではメニューを見直し
もっと具体的にBMI25以上の肥満者を2025年までに肥満者率20%以下にする、といった目標を掲げている企業もあります。
社員個人まかせではなかなか難しいので、こういった仕組みは良い取り組みだと思います。
なぜ「健康経営」が必要なのか?
でもなぜこのように熱心に取り組んでいるのでしょうか?
社員の健康が改善することで生産性向上し、企業イメージとしても良いからです。
最近よく見かけるSDGでも健康経営は社会問題や企業統治に関わるテーマなので、顧客、取引先、投資家からの信頼や評価を得やすい、ということもあります。
健康経営の投資が実際にどれくらいの効果があるか、アメリカのジョンソン&ジョンソンが試算したことがあります。
1ドルの健康投資に対して3ドル前後のリターンがあったそうです。約3倍のリターンですから効果的な投資と言えるのではないでしょうか
特に最近ではコロナの影響もあって、ますます「健康経営」が注目されそうな気配です。
パーソルキャリアが発表した6月の転職動向によると、転職希望者は前月比22.3%増えて2014年4月以降最多でした。4月、5月は緊急事態宣言でほとんど動きがなかったと思われますからその反動とも言えますが、新しい働き方を求める求職者も増えているそうです。
テレワークを経験した人たちが今後もテレワークでできる仕事を探したり、またこれまで仕事を諦めていた人たちがテレワークだけでも良い求人を探すようになったのではないかと個人的には考えています。
こういった視点からも、今後ますます「健康経営」の取り組みが評価されていくと思います。あなたの組織でもどんなことが出来るか、考えてみましょう