このブログで以前「福利厚生制度」について書いたことがあります。
最近の求職者は中小企業にも福利厚生制度の充実を求めている、
という内容でした。
そんな折、7月19日の日経新聞に「非正規にも年金・退職金」
という記事が掲載されました。
最近は非正規社員にも退職金制度を提供する会社もあるようです。
こうした動きは昨年9月にドトールコーヒーが非正規向け
退職金制度を導入して以来続いているとのことです。
非正規社員にも退職金
昨今の人手不足の折、雇用者全体の37%を占める非正規雇用者の
定着を促すために効果的と思われます。
退職金制度があれば、長く勤めるほど積立額も増えるので、
雇用者にとってもメリットがあります。
また今後は「同一労働同一賃金」への対応も考慮して、
導入する企業が増えてくると予想されます。
ある中堅の物流会社ではパート社員向けの退職金制度を
導入しました。会社は一人当たり月千円を積み立て、
退職時は利息を含む積立額を一括で支払うそうです。
対象は勤続一年以上で社会保険に加入する社員で、
任意で給与からも拠出できるそうです。
対象者の人数にもよりますが、一人当たり月千円なら
大きなコスト増ではありませんよね。
むしろ採用コストを考えれば安いものだと思います。
それで熟練した人たちが定着してくれれば、費用対効果で
考えれば効率的な投資ではないでしょうか。
従業員の定着にも効果的
あるコンサルティング会社が従業員エンゲージメント*と
相関性の高い項目について調査しました。
その結果を見ると、他国と日本ではっきりとした違いが2点ありました。
一つはトップ5に「経営トップのリーダーシップ」が他国では
入っているのに、日本では入っていない。
代わりに日本では「福利厚生の充実」が入っていました。
これは日本特有の傾向だそうです。
この結果からいろいろ考えられます。理由の一つとして、
日本ではやはり年金制度など老後の不安が、勤める会社の
福利厚生の充実を求めているのではないかと、私は考えています。
社会的な不安の対応を一企業に求めるのは筋違いなような
気もしますが、これが多くの人が求めているものなのです。
この調査の結果から見ても、福利厚生を充実することは
従業員の定着に効果的と思われます。
選択型の確定拠出年金制度なども可能になり、
だいぶ導入しやすくなりました。
非正規社員の福利厚生もぜひ検討してみてください。
*従業員エンゲージメント
正式な定義はありませんが、組織開発の分野では
「会社のビジョンや目標達成に向けての自発的な貢献意欲」の
尺度を意味します。
従業員エンゲージメントが高いほど、貢献意欲も高く、自発的に行動します。