今日は「無期雇用」について。
今年の4月に労働契約法が改正され、
雇用が5年を超える時、労働者が希望すれば
無期雇用に転換することが企業に義務付けられました。
今までは「有期」で期間の定めがある労働契約だった人たちが、
「無期」で期間の定めが無い労働契約に変わることになります。
非正規社員の待遇を改善することが目的ですね。
「期間の定めがない」と言う意味では「正社員」に近いですが、
厳密に言うと「正社員」とは違います(各社の制度にもよります)。
人手不足の業界では5年未満でも
小売業など人員確保が難しくなっている業界では
5年を待たずに無期転換している企業が出てきています。
7月31日に日経新聞に掲載された記事によると、
小売りや外食などの労働組合で構成するUAゼンセンでは
2割近くの企業が5年未満で無期転換しているそうです。
対象人数は12万人、UAゼンセン全体の16%にのぼります。
スーパー大手のサミットは1年を超えたパート・契約社員が対象。
高島屋は2017年5月から制度を導入して、
すでに2800人以上が無期に転換しました。
他の百貨店でも似たような取組みが進んでいるようです。
派遣社員は・・・
こういう動きが見られる反面、対象となっている
派遣社員の人たちは意外にも無期転換を
選ばなかった人も多かったのです。
理由は「安定より自由」
派遣会社で無期社員になると、派遣会社が
配置する職場を選ぶ権利があるので、
無期社員は選べなくなります。
そうすると「自由に仕事を選べる」と言う
メリットがなくなるわけです。
各派遣会社ではこの改正のために戦々恐々として
準備を進めてきたと聞いています。
でもフタを開けてみると、無期転換を希望したのは
対象者の1-3割ぐらいだったそうです。
確かに不本意ながら派遣・非正規社員として
働いていた人たちからすれば、無期転換は
ありがたいことだと思います。
でも理由があってこの働き方を選択した人にしてみれば
「自由を奪われる」ことになり魅力的とは感じないでしょう。
今後の課題
事前に懸念されていた無期転換対象となる前の
雇止めも少なからずあったようです。
別の課題として、無期転換しても待遇を変える必要はないのです。
極端な言い方をすると、「期間が無期限に変わっただけ」
でもOKなわけです。
まあこの辺りは「同一労働同一賃金」で見直していけば
良いのかもしれませんが・・・。
この法改正案を見た時に、「無期転換を希望する人って
どれくらいいるんだろう?」と私は疑問に思いました。
誰もがハッピーになる施策というものは難しいですね。