いよいよオリンピック・イヤーの2020年になりました。皆さんの年末年始休暇はいかがでしたか?今回は曜日周りが良かったので9連休になった方が多かったのではないでしょうか。
私は年末に風邪を引いてしまい、病み上がりで新年を迎えました・・・。こういう時に健康のありがたさを感じます。
今回は年功型賃金の見直しをテーマにしたいと思います。
2020春闘のテーマは「年功型賃金の見直し」?
この時期になると「春闘」の前哨戦のように、いろいろ思惑をからめた発言が出て来るようになります。
12月に立て続けに年功型賃金について取り上げられていたので、それをご紹介します。
まず経団連の中西会長の発言から。
「賃上げに加え、年功型賃金や終身雇用を柱とする日本型雇用制度の見直し」を重点的に掲げました。賃金制度だけではなく、雇用制度にも踏み込んだ発言は珍しいのではないでしょうか?
中西会長は経団連の就活ルールを撤廃するなど、強い危機感を持って活動されている印象があります。
中西会長の発言を後押しするように、日経新聞が社長100人アンケートの結果を発表しました。
日経新聞は3か月に一回、国内の主要企業の社長にアンケートを実施しています。今回は11月下旬から12月半ばに実施したもので144社から回答がありました。
その結果ですが、「年功賃金を見直す」とする企業が72.2%あったそうです。
そしてもっとビックリしたのが、「現状のままでよい」と回答した企業はゼロ。多くの企業は今のままでは立ち行かなくなっている、ということですね。
年功型賃金もここまで来ているのかと思いました。
年功型賃金の矛盾
実際、私もコンサルティングや研修でいろいろな企業に伺いますが、どの企業も似たような課題を抱えています。
中途採用しようとすると、既存の給与テーブルでは採用できない。
しょうがないので例外的に高めの給与で採用するけど、そうすると社内の中で給与の高い人と低い人が混在してしまう、という矛盾。
特にIT系や人口知能(AI)関連の職種は給与を高くしないと採用できないので、こういった傾向がより多く見られます。
これを解決するには「ジョブ型採用」を取り入れることが考えられます。
日本では新卒の一括採用で、ローテーションでいろいろな職種を経験させて「ジェネラリスト」を育成していきます。
一方「ジョブ型採用」は仕事を限定して採用します。「この仕事をする人をこの給与・待遇で採用します」と募集して採用する手法です。
年功型賃金に戻りましょう。
労働組合からも・・・
経団連会長や社長アンケートの結果をご紹介しましたが、一番驚いたのは労働組合が成果主義を反映させた制度の提案を検討しているということ。
トヨタの労働組合が、ベアを一律上げるのではなく、個人の評価によって配分を変えることを2020年の春闘で提案するようです。
ご存知のように、トヨタの動向は春闘の方向性に強い影響力があります。経団連会長の発言や主要企業の社長も同じようなことを考えています。
今後年功型賃金を見直す動きに他社も追随する可能性が非常に高い。
おそらく賃金カーブを今後さらに緩やかにしていって、年齢が上がっても今までほど給与が上がらなくなっていくでしょう。
給与を上げるために転職することも選択肢の一つになるでしょうね。
そんな時代がもうすぐ目の前に来ています。