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70歳定年が現実に?高年齢者雇用安定法改正でこう変わる

70歳定年が現実に?高年齢者雇用安定法改正でこう変わる

企業に70歳までの就業機会確保する努力義務を課す法律改正案が1月20日から始まる通常国会に提出されることになりました。

 

私の記録では2018年夏頃からメディアで「70歳定年」という言葉が出るようになりました。2年も絶たないうちに法律化されるとは、私が思っていた以上に早いスピード感で進んでいます。

改正内容

現在の65歳までの雇用義務は2004年の高年齢者雇用安定法の改正で始まりました。

 

ただその時は年金給付が65歳に引き上げられたことに伴い、無年金状態が起こらないようにするための意味合いが強かった。

 

今回は働き手としての就業機会確保すると同時に、医療・年金・介護の支え手を増やすことを期待しているようです。

 

2004年の改正では、次の3つのいずれか実施することが義務づけられました。

 

1 定年の廃止

2 定年延長

3 継続雇用制度の導入

 

今回の改正では、上記に加えて次の4項目が追加される予定です。

 

他企業への再就職実現

フリーランス選択者への業務委託

起業した人への業務委託

社会貢献活動への参加

 

企業は1つ以上の項目を導入する必要があります。

 

当面は「努力義務」ですが、前回の改正と同じように、いずれは「実施義務」になる可能性が高いですね。

企業はどう捉えているか?

株式会社ライフワークが2019年6月に実施した調査では、約8割の企業が70歳までの就労受け入れを「現実的」と回答していました。

 

この結果には私は少し驚きました。「企業は若手を採用したいだろう」と考えていたのですが、「そうしたくても採用できない」ということでしょうか。

 

働き方としては「短時間や少ない日数での勤務」が6割近くで一番多かったです。

 

また70歳までの雇用受入れを踏まえ、定年も「65歳に引き上げる」、「もしくは近々検討する」と回答した企業が4割。既に定年を65歳に引き上げた企業も含めると全体の5割になります。

 

2004年の改正の時に「定年を延長する」もしくは「定年を廃止する」を選択した企業はわずか1割でした。今後定年も65歳に引き上げる動きも出て来そうですね。

 

ただ定年後の継続雇用の場合、仕事は変わらないのに給与が一気に減り働き手のモチベーションをそいでしまう可能性があります。それを避けるために、現役時代の賃金カーブをより緩やかなものにしつつ、定年後の給与水準も上げることでギャップを少なくする動きが出てくる可能性があります。

 

それ以外にも全体の人件費調整という意味合いでは、早期・希望退職の募集が増えてくると私は考えています。こちらは12月に投稿した記事もご参照ください。

企業が70歳まで雇用機会を提供しなければいけなくなると、ますますこういった希望・早期退職の募集も増えてくるでしょうね。

 

関連記事:

「早期・希望退職募集1万人超え、45歳以上が備えるべきこと」

http://bemore-office.moo.jp/early-retirement/

 

 

10年前には予想もつかなかったようなことが起こっています。変化を受け入れながらしなやかに生きていきたいですね。

 

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